NPO法人SPICA(スピカ)は、人間だけでなく動物の命も同様に大切にできる社会を目指した活動をしています。

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NPO法人SPICA設立準備委員会
動物の現状

日本の動物は幸せか

教育の力

いまやペット大国と言われるようになった日本。
「日本の動物は幸せか。」
この問いに、どう答えたらよいでしょうか。

2009年、日本におけるペットの数は2234万頭となりました。これは、2010年4月の15歳未満の人口1694万人を大きく上回っています。ストレスの多い現代を生きている私たちにとって、犬や猫などのペットは心の癒しであり、今では多くの人が、ペットは「家族」と考えています。
しかし、その「家族」を捨てる人は後を絶たず、その人間の無責任さが年間30万頭という殺処分数に結びついているのです。
人間の都合で毎日「処分」される動物たちを本当にゼロにできるのは、よりよい人間を作る教育の力だけです。

愛護施設という処分場

人間の身勝手さ

全国の自治体には、「動物愛護センター」があります。これはかつて、「保健所」と言われていた施設を改名したものです。「愛護」という名前を入れはしたものの、その実態は「愛護」とはほど遠いものです。
愛護センターに引き取られた動物は、4日の拘留期間を終えると、処分の対象になります。自治体によっては、動物の状況などを見ながら判断していますが、もしそれが迷い犬・猫で飼い主が探していた場合、4日はあまりにも短い期間です。そして、飼育放棄で飼い主自身の手で持ち込まれた場合、即日処分も可能です。飼い主の持ち込み理由には、「引っ越すから」、「動物が病気になったから」など、人間の身勝手さが表れています。

殺処分の方法は、多くの人が安楽死だと思っていますが、センターにその余裕はありません。薬物による注射ができない自治体では、限られたスペースに次々に送り込まれる動物たちを効率よく処分するために、二酸化炭素による殺処分が行われています。処分が決定した動物たちを、二酸化炭素室へ送り込み、徐々にガスを満たしていきます。窒息死するまでの十数分間、息苦しさと闘いながら、動物たちは吠えたり壁を引っかいたりします。重なり合うように倒れた動物たちの体は、その真下にある焼却場へとボタン一つで落とされます。子犬や子猫のように、まだ息の浅い動物たちは、この数分では呼吸は止まらず、生きたまま焼却処分になることもあります。
その数が、年間30万頭。1日約1,000頭に上るのです。
これは、平成20年度の広島県の殺処分数のデータです。
私たちは、具体的なことは知らなくても、「多くの動物たちが人間の都合で殺されている」ということには気づいています。私もかつてはそうでしたが、うすうす知ってはいるけれど考えないようにしているのです。

「考えてもどうにもできないから」
この考えは間違っています。殺処分については多くの問題が複雑に絡んでいますが、少なくとも、悪いのは施設の人ではありません。この現状を容認している私たちにこそ責任があるのです。
無責任な飼い主はもちろん罰されるべきですが、人間には「どうしても」という事情がある時もあります。その時に、「生かす」施設を置くか、「殺す」施設を置くかは、愛護センターという施設を運営するための税金を支払っている私たちの選択であるはずです。

平成22年度 広島県の施設に収容された動物のデータ

1年間に県内の施設に収容された犬の数 約3.500頭

1年間に県内の施設に収容された猫の数 約6.800頭

ペットビジネスの裏側

急成長するペットビジネス

ここ数年、ペットビジネスに関するトラブルや事件が多く聞かれるようになりました。ペットショップ、ペットフード、ペット保険、ペット介護、ペット葬儀、ペット雑誌、ペットと旅行、ペット可住宅と、ペットビジネスは急成長しているビジネス分野です。2006年に、動物取扱業者は登録制となりましたが、中には悪質な業者も潜んでいます。
その中でも特筆すべきは、利益最優先の激安ネット販売やネットオークション、悪徳ブリーダーといったものたちです。

子犬は早くから母犬と離され、情緒が安定しないままペットショップに並んだり、ネット販売されたりします。ペットショップのウィンドーの中で、深夜まで蛍光灯に照らされ、ガラスを叩かれ続けることによって受ける、その動物たちのストレスは相当のものです。多くの先進国が、動物をショーウィンドーに並べて販売することを禁止しています。

こうやって見てみると、やはり日本の動物たちは幸せとは言えません。
街では洋服を着た美容院帰りの犬がお散歩していたり、あちこちにペットショップがオープンしたりしているのに、どうして不幸な動物たちを救ってやることができないのか、私たち一人一人がもっと真剣に考え、議論していくべき問題だと思います。

上記以外にも、動物に関わる問題はたくさんあります。たとえば、野生動物、毛皮、実験動物、畜産動物の福祉などです。

海外動物の事情

世界の国々の動物事情を知ると、いかに日本が動物愛護・保護の面で遅れているかが分ります。ここではほんの一部ですが、本当に動物に優しい社会を実現するために現在も努力している世界各地の例を紹介します。

アメリカ〜アニマリポリスとサンフランシスコの取り組み〜

アメリカにはアニマルポリスという動物専門の警察官がいます。彼らは一般の警察官と同じ権利を持っています。たとえば、虐待を受けている動物を強制的に保護したり、警告に従わない飼い主を逮捕することができます。 アニマルポリスの存在もすごいと思ってしまいますが、何よりも日本が見習わなければいけないのは、「かわいそうな動物がいたら通報するのが当たり前」という、一般市民の動物に対する意識の高さです。さらに彼らは、「散歩をさせない」、「短い鎖でいつもつながれている」など、動物を適正に飼わないものも虐待とみなしています。 州によって法律もさまざまですが、動物に関するいろいろな罰則なども細かく決められています。リードをつけずに散歩していると100ドル、虐待がひどい時には、禁固刑も用意されているのです。 また、サンフランシスコなどでは、去勢・避妊手術をしていないと、毎年100ドルの登録料を支払わなければならなかったり、動物を守るための取り組みは充実しています。 注:州によって事情が異なり、アメリカを動物先進国と呼ぶには、もう少し時間がかかりそうです。

ドイツ〜動物を飼うならティアハイムへ〜

ドイツで犬を飼おうと考えたら、人々はペットショップに行くのではなく、「ティアハイムに行こう」と言うそうです。ティアハイムとは、ドイツにある保護施設のこと。ドイツ全土に約500か所あり、そこは日本の保健所とは比べ物にならないくらい、広くて明るい施設です。何も知らずに訪れたら、美術館か何かと勘違いしてしまうかもしれません。「犬を殺さない」これはドイツの人にとっては当たり前であり、ティアハイムの動物たちに「殺処分までの期限」はありません。 動物を迎える時には、本当に飼えるかどうか厳しい審査があり、家族構成や労働時間、過去の飼育歴などを詳細に答えなければいけません。でもこれも動物たちが幸せに生きるため。社会全体が動物を飼うことについて成熟しているようです。 ドイツにも、動物保護法のもとにたくさんの規則があります。屋外で飼う場合は小屋の床に断熱材を使用しなければならない、檻で飼うなら1匹あたり最低6平方メートルの広さを確保しなければならない、などなど。 現在日本で検討中の「犬税」もあります。1匹あたり、年1〜2万円が相場のようです。これだと安易に犬を飼って捨てる人に対する抑止力にもなりそうです。

オーストリア〜動物がいるのは自然なこと〜

動物生理学者コンラート・ローレンツの出身地、オーストリアには、動物の殺処分施設はありません。何らかの事情で遺棄された動物たちは、アニマルシェルターで新しい家族を待ちます。ドイツと同様、そこに期限はありません。 オーストリアには、ペットだけでなく、動物の権利法というものがあります。サーカスに野生動物を使ってはいけない、ドーベルマンのしっぽを切ってはいけない、ペットショップで動物を陳列してはいけない、などです。また、鶏の狭いケージ飼いを禁止し、牛をロープできつく縛ることも禁止されています。これらの法律は、議会の満場一致で可決されました。先進国では当たり前となった「生後8週齢までの子犬・仔猫の販売を禁止する」という法案でさえも、日本ではなかなか通らないことを思うと、あまりの意識の差に愕然としてしまいます。 オーストリア出身で、現在は日本で動物保護活動をしているマルコ・ブルーノさんは、その著書の中で、「日本の犬にだけは生まれ変わりたくない」と、偽善的な日本の体制を痛烈に批判しています。